制作中…
1と9
トカゲの絵描きさんが素晴らしい絵を描き上げました。それはそれは美しい絵で、10トカゲいると9トカゲが絶賛するであろう絵です。
トカゲの絵描きさんは絵を持って出かけました。その日初めて会ったトカゲに絵を見せてみました。
「いや、この絵はあまりよくないね。ありきたりだよ」
トカゲの絵描きさんはがっかりして、誰にも絵を見せなくなりました。
今度はヤモリの絵描きさんが素晴らしい絵を描き上げました。それはそれは素敵な絵で、10ヤモリいると9ヤモリが賞賛するであろう絵です。
ヤモリの絵描きさんは絵を持って出かけました。その日初めて会ったヤモリに絵を見せてみました。
「うーん、この絵はなんだか好きになれないなぁ。平凡というか」
ヤモリはがっかりしましたが、その後もいろんなヤモリに絵を見せました。するとたくさんのヤモリが絵を褒めてくれたのです。時には褒めてくれないヤモリもいましたが、何十匹、何百匹、何千匹ものヤモリが口々に素敵な絵だと言ってくれたのです。
ヤモリはすっかり気を良くして、今日も絵を描いています。
それを見たトカゲは「もう一度絵を描いてみようかな」と思いました。
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