満月の晩、狼男が出かけようとすると家の前の木の下で、親とはぐれたのかがりがりに痩せた子猫が鳴いていました。
ミーミーとなく子猫。狼男はどうすればいいのかわかりません。
食べてしまおうかとも思いましたがやせてほそっている子猫は皮と骨ばかりでまずそうです。
狼男は子猫にご飯をあげてみました。嫌がってばかりで食べようとしません。しかしやせ細った子猫が何も食べなければ明朝まで持たないかも、と思いました。
狼男は食べやすいように肉ををすりつぶして水で溶いて子猫の口にほんの少し押し込みます。子猫は嫌がって吐き出そうとしますが狼男は無理やり少しだけ食べさせました。近所の猫又に頭を下げて猫のミルクをもらってきました。猫又にはこの子は今夜が山だよ、と言われました。ミルクも無理やり飲ませます。子猫が嫌がりましたが狼男は無理やり少しだけ飲ませました。子猫は言葉にならない言葉でいやだいやだと泣き続けてしました。
狼男はこんなに嫌がっているのに無理やり食べさせていいんだろうか。無理に食べさせるとそのせいで死んでしまうのではないか。子猫は食べたくないと言っているのに。いっそのこと子猫の好きなようにさせてやればどんなに楽だろうかと悩みました。しかし幼く、弱っている子猫より、その子猫を助けたいと思っている自分を信じてもう少し、ほんの少しだけミルクを飲ませました。
明朝、子猫は昨日よりも元気になっていました。男は猫又にお礼を言いに行きました。猫又は「もう大丈夫だよ。よく頑張ったね」と言ってくれました。男が「大変だったよ」というと「あんたじゃない。子猫が頑張ったんだよ」と言われました。
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