オーダーありがとうございます!

2021年2月3日水曜日

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フォークアート「ハートのカエル」

「ねこのひげ」

ある猫はかけっこが遅いことを気にしていました。かけっこをするといつもびりっけつになってしまいます。猫は友達の賢いカラスに相談しました。

猫は聞きました。「ねぇ、足が速くなる方法はないかな」

カラスはゆっくり答えました。「ない事もないがね。君が自分のひげの数だけ他のみんなが苦手な事を僕に教えてくれたら交換に足が速くなる方法を教えよう」

猫は喜んでさっそく友達に苦手なことを聞いて回りました。

「私はかくれんぼが苦手だよ。すぐ見つかってしまうからつまんない」へぇ、僕はかくれんぼは得意で大好きだけどなぁ

「俺はちょうちょ追いかけるのが苦手なんだ。すぐにヒラヒラと飛んで行っちゃう」僕もちょうちょ追いかけるのは苦手だな

「わしは高いところがどうにも苦手で。足がすくんでしまうんじゃ」猫なのに高いところが苦手なんて変なの

「自分はねずみをとるが苦手。すばっしこいたりゃありゃしない」僕は足は遅いけどこの町でネズミを取るのが一番得意なんだ

62匹の友達に苦手なところを聞いた猫は何やら考えながらカラスのところに帰ってきました。あたりはすっかり夕方です。

カラスは聞きました。「ひげの数だけ苦手は集まったかい?」

猫は答えました。「うん、でも足は速くならなくてもいいや。この町でネズミを取るのが得意なのは僕だからね」

カラスは笑って飛んで行きました。

寝る前に考えた話。



プロフィール

 

松原 俊之

 

小さな作り話作家。プロマジシャンでもありフォークアート作家でもあります。

朗読 カエルとチョウ

 

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